ペットを飼う前に知っておきたいこと

イラスト:犬猫を抱く男の子と女の子

近年、動物に対する意識が変化し、犬や猫などのペットに癒しを求めて買う人が増え、ペットはより人に身近な存在となっています。

しかし、犬や猫をペットとして飼うということは、動物の命に最期まで責任を持つことを意味します。また、ペットが健康で快適に暮らせるようにするとともに、地域や周囲の人達に迷惑をかけないようにすることも飼い主の義務です。

人に噛みついたり鳴き声やフンなどで周囲に迷惑をかけないようしっかりしつけを行い、清潔な環境でエサや水を与えることで動物がストレス無く暮らすことができるようにしなければなりません。また、経済的な負担、引越し等の家庭環境の変化や、最後まで飼育ができるか等の点を考慮することも必要です。

「命を大切にし、やさしさあふれる人と動物が共生するくまもと」の実現のため、ペットを飼う前にはこれらのことをしっかり考えておきましょう。

狂犬病予防のために

 狂犬病は、動物由来感染症の一つで、狂犬病ウイルスをもつ動物に咬まれることで人に感染します。発症すると有効な治療法もなく、人も動物もほぼ100%死に至るとても恐ろしい病気です。

日本では、昭和32年(1957年)以降、犬での発生はありませんが、海外では現在でも多くの国で発生しており、年間約5万5千人の方が狂犬病で亡くなっています。

犬の飼い主には、飼い犬をお住いの市町村へ登録し、毎年1回狂犬病予防注射を受けさせることが狂犬病予防法で義務付けられています。狂犬病予防注射は、犬の感染予防だけでなく、人への感染予防にもつながる重要なワクチン接種ですので、犬を飼っている方は必ず予防注射を受けさせましょう。

また、各市町村では、定期的に狂犬病予防集合注射を実施していますので、広報誌等で日時や会場を確認しましょう。なお、予防注射は動物病院でも受けることができます。

狂犬病にかかった犬

大事なペットを迷子にさせないために

写真:犬

 夏季は、各地で花火大会が開催されたり、激しい雷雨を伴う夕立が発生することが多くなります。このような花火や雷の音に飼い犬が驚いてパニックになり、リードを引きちぎって逃げ出してしまうことがあります。

大事なペットを迷子にさせないよう、花火大会の日や激しい雷雨が予想される日は玄関に入れるようにし、首輪やリードが痛んでいないか再確認しましょう。また、日頃から鑑札を付けておくのはもちろん、迷子札を付けたり、首輪の裏に飼い主の名前や連絡先を書いておきましょう。

もし飼い犬や飼い猫がいなくなった場合は、最寄りの保健所や市町村、警察署に問い合わせてください。なお、保健所で保護された犬や猫の情報は、当HPにも掲載しています。

パニックになった犬や猫は、自力では家に戻れません。言葉が話せないペットだからこそ、迷子にさせない努力、迷子になった時の適切な対処が大切です。

 

避妊と去勢の必要性

犬(猫)の生態について
写真:猫

全国で引き取られ処分されている犬や猫のうち、およそ半数は生まれて間もない子犬や子猫です。

望まない妊娠・出産による不幸な命を増やさないためにも、飼い主の方は以下のことを知っておきましょう。

犬や猫に対する避妊去勢について、「かわいそうだ」、「自然でない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、飼い主として面倒を見ることができない命を増やすことが子犬や子猫の不幸な現実につながっていることも事実です。

動物を飼う以上、その動物についての適正な繁殖制限を行うことは飼い主の義務であり、責任なのです。(参考:平成14年5月28日環境省告示第37号「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」

  • メス犬は生後8ヶ月~10ヶ月(個体差がある)で最初の発情があり、以降年2回の発情が続くと言われています。(猫の場合、6~12ヶ月で最初の発情があり、以降は年2~4回の発情が続くと言われています。)
  • 一度の妊娠で3~8頭(犬種により差がある)の子犬を出産すると言われています。(猫の場合、一度に2~8匹を妊娠すると言われています。)
  • これが普通7歳ぐらいまで続くと、単純計算で1頭の犬が一生涯に50頭以上の子犬を産むことになります。(猫についても同様のことが言えます。)
メス犬(猫)を避妊手術させると
  • 発情がなくなることで、オス犬(猫)が集まらなくなります。
  • 血液などの分泌物で汚れなくなります。
  • 喧嘩が減り、精神的に落ち着きます。
オス犬(猫)を去勢手術すると
  • 攻撃性が少なくなり、喧嘩が減ります。
  • 放浪性が少なくなり、喧嘩も減り、おとなしくなります。
  • しつけがしやすくなります。
  • マーキングが少なくなります。

感染症防止

人とペットなどの動物に共通する感染症があります。

その原因となる病原体は、数cmもある寄生虫から目には見えないような小さなウイルスまで様々です。感染しても動物は軽い症状で終わったり、症状が出ないこともあるため、動物との過剰な触れ合い等により知らないうちに飼い主が感染してしまう場合があります。

ヒトと動物には共通した感染症があることを、飼い主の皆さんのためにも、ペットのためにも知っておきましょう。

また、ペットに寄生するノミやマダニからヒトへの感染を防ぐため、寄生虫等の駆除などペットの定期検診を受ける等、日常の健康管理と併せて、ヒトへの感染防止に努めましょう。かかりつけの動物病院があると、必要に応じ、飼い方、病気の予防や予防注射等の相談ができ、安心です。

ペット(犬・猫)の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは、SFTSウイルスが感染することによって起こる感染症で、感染マダニから咬まれることで感染すると考えられています。重症化すると死亡することもあり、人の致死率は約20%と比較的高い病気です。

近年、犬や猫もSFTSウイルスに感染すると、人と同様の症状(発熱、嘔吐、下痢など)が認められることがわかり、特に猫では発症後に高率で死亡していることから犬と比較して重症化しやすいようです。また、SFTSウイルスに感染した犬、猫の血液などの体液に直接触れたり、咬まれたことなどにより感染したと思われる人のSFTS事例が報告されています。

現在、治療薬やワクチンはないため、SFTSウイルスに感染しないようペットにはマダニ駆除薬を投与する、野外に放し飼いをしないなど適切な飼い方が感染の予防になり、飼い主とペットの命を守ることにつながります。

災害時の備え

災害が起こった時、家族であるペットを守ることができるのは飼い主だけです。

平成28年(2016年)に起きた熊本地震においても、犬や猫が飼い主と離れ離れになってしまう事例が発生しました。ペットを守るため、日頃から災害時の備えをしておきましょう。

避難する場合は、ペットと一緒に避難所へ避難することが基本ですが、避難所には動物が好きな人ばかりがいるとは限りません。日頃から、無駄吠えをしない、ケージの中でおとなしくできる等のしつけをしておくことは、周りの人に迷惑をかけずに済むだけでなく、飼い主やペット地震のストレス軽減にも繋がります。ペットの受入れが可能な避難所も調べておきましょう。

また、迷子防止のために迷子札や鑑札を付けたり、首輪の裏に飼い主の名前と連絡先を書いておきましょう。さらに、予防接種やノミ、ダニの駆除など日頃の健康管理をこまめに行い、少なくとも5日分(できれば7日分)の餌や水の準備をしておくことも大切です。

 

飼い犬が人を咬んでしまったら…

飼い犬が人に危害を加えることのないよう、飼い主は常に細心の注意を払う必要があります。

もし飼い犬が人を咬んでしまった場合は、熊本県動物の愛護及び管理に関する条例の規定に基づき、直ちに管轄の保健所に届け出るとともに、狂犬病に関する獣医師の検診を受けさせなければなりません。

また、飼い犬が他の飼い主がいる動物を咬んで被害を与えた場合も届出が必要となりますので、その時も速やかに管轄保健所へ連絡してください。

有明保健所(荒尾市、玉名市、玉名郡) 玉名市岩崎1004-1 0968-72-2184
山鹿保健所(山鹿市) 山鹿市山鹿1026-3 0968-44-4121
菊池保健所(菊池市、合志市、菊池郡) 菊池市隈府1272-10 0968-25-4135
阿蘇保健所(阿蘇市、阿蘇郡) 阿蘇市一の宮町宮地2402 0967-24-9035
御船保健所(上益城郡) 上益城郡御船町辺田見396-1   096-282-0016
宇城保健所(宇土市、宇城市、下益城郡) 宇城市松橋町久具400-1 0964-32-0598
八代保健所(八代市、八代郡) 八代市西片町1660 0965-33-3198
水俣保健所(水俣市、葦北郡) 水俣市八幡町3-2-7 0966-63-4104
人吉保健所(人吉市、球磨郡) 人吉市西間下町86-1 0966-22-3108
天草保健所(天草市、上天草市、天草郡)   天草市今釜新町3530 0969-23-0299